
講演の第2部はユーザーベース代表の梅田優祐氏による講演だ。
もともとコンサルタントや外資銀行に在籍していた梅田氏。
職務の中でBloombergなど金融系データベースサービスに触っていく中で、ある違和感を感じたという。
それは、Googleのように直感的に使い方がわかるものではなく、「ユーザーがサービスに合わせてしまっている」という違和感だった。
ここから梅田氏は「ビジネス情報のGoogle」を作る為に起業を決意する。
これがビジネス情報プラットフォームのSPEEDAである。
市場規模や統計情報などのビジネス情報プラットフォーム SPEEDA(スピーダ)
苦労続きで辿り着いたマネジメント方法
SPEEDAの開発までには大きな苦難があったという。
3ヶ月探してようやく、エンジニアのと竹内氏(現CTO)と出会った。
しかし、エンジニアのバックグラウンドが無い梅田氏には、エンジニアの適切なマネジメントがわからず苦労したという。
例えば納期や進捗が気になり、ついかなり細かく進捗を伺いながら、管理しようとしてしまった。
これがエンジニアと合わず、最悪の結末を迎えそうになったこともあるという。
しかし、このエンジニアの成果物を見て梅田氏は考えを改めたという。
自分がしっかりとした仕様書を作りエンジニアに依頼をしたものの、出てきた成果物はエンジニアが考える「より良い仕様」で開発されていた。
これこそがイマジネーションの力だと感じた梅田氏は以降、会社の方針として自由を認め、みんなのイマジネーションで勝っていくことがスタートアップに不可欠だと感じたという。
実際にユーザーベースのビジョン・バリューには「自由主義で行こう」「創造性がなければ意味がない」などがあり、このときに苦労した経験から学んだことが今も文化としていきている。
COMPANY | 株式会社ユーザベース | UZABASE, Inc.
ユーザーベース社より
本源的価値を見出したNewsPicksの成功
「ビジネス情報のGoogle」を目指していたユーザーベースでは、経済ニュースサービスを必ずやりたいと思っていた。
そんな中、スマートフォンが台頭し、人々の生活シーンを変えていくことになる。
そこで単なるニュースではなく、コメントを集めることで独自の価値を作るサービスNews Picksをリリースする。
NewsPicks
News Picksといえば堀江貴文氏をはじめ、著名な起業家や著名人たちが意見を投稿する機能が特徴だ。
単なるニュースではなく、例えば堀江氏がコメントすることで付加価値が付く、これは間違いなく価値のあるものであり、梅田氏はこれを本源的価値と呼ぶ。
最初は泥臭い営業をしながらも、コメントをする「ピッカー」を増やしていった。
現在のユーザー数は120万人にも及ぶとのこと。
今いる枠の外で考える
最後に、金融と起業の世界を比較してくれた。
その中でも大きい相違点として、「金融の世界はできることの枠の中で考える、しかし起業の世界は枠の外で考える」と梅田氏は語った。
きっと枠の中で考え、既存のデータベースサービスに不満を持たなければSPEEDAは誕生していなかっただろう。
今後、Fintechが金融業界にインパクトを与える為には、規制などは意識しながらも「枠の外」でも考えていく必要がありそうだ。